外国人雇用の注意点

不法就労の防止

外国人を雇用する際に、不法就労となる外国人を雇い入れると、当該外国人だけでなく不法就労させた事業主も処罰の対象となるので注意が必要です。

不法就労となるケース
①不法滞在者や被退去強制者が働くケース(密入国者や在留期限がきれている)
②出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース(短期滞在や留学生等で許可を受けていない)
③出入国在留管理庁から認められた範囲を超えて働くケース(認められた許可の範囲を超えている)

不法就労させた雇用主は「不法就労助長罪」の対象となります。
 ⇒3年以下の懲役・300万円以下の罰金
 ※外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません。外国人の雇い入れの際には、就労可能な在留資格や資格外活動の許可を有していることを、旅券の証印や在留カード等で確認することが必要です。

在留カード

在留カードは、新規の上陸許可、在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格の許可を受けて中長期間在留する者に対して交付されます。
在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否など、法務大臣が把握する情報の重要部分が記載(16歳以上は顔写真が表示)されています。記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており、常に最新の情報が反映されることになります。
在留カードが交付される中長期在留者は、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人で、具体的には次の①~⑥のいずれにもあてはまらない人です。

① 「3月」以下の在留期間が決定された人
② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①から③の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
⑤ 特別永住者
⑥ 在留資格を有しない人観光目的で我が国に短期間滞在する方は対象となりません。

出入国在留管理庁のサイトで在留カードの番号が失効していないかの確認が可能です。

在留カード等番号失効情報照会

外国人を雇用したときの届出

外国人(「特別永住者」、在留資格「外交」及び「公用」は除く。)を雇用する事業主には、労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)に基づく外国人雇用状況の届出が義務づけられています。外国人を雇用した場合や外国人が離職した場合は、ハローワークへ届出が必要です。(この届出を怠ると、30万円以下の罰金が科され、これは特定技能ビザの所属機関の欠格事由に該当します。)留学生や短期のアルバイトの雇用の際も届出が必要です。

※令和2年3月1日以降に雇入れ、離職をした外国人についての外国人雇用状況の届出には在留カード番号の記載が必要となります。

留学生等をアルバイトで雇用するには

日本に在留する外国人は、就労や留学など日本で行う活動に応じて許可されるものであるため、その行うことができる活動は、それぞれの在留資格に応じて定められています。許可された在留資格に応じた活動以外に、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合には、あらかじめ資格外活動の許可を受けていなければなりません。したがって、留学生のアルバイトを雇用するためには、雇用主は資格外活動許可の確認をする必要があります。

資格外活動の許可は、証印シール(旅券に貼付)又は資格外活動許可書の交付により受けられます。証印シール又は資格外活動許可書には、「新たに許可された活動内容」が記載されます。また、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に資格外活動許可を受けていることが記載されます。

①雇用主である企業等の名称、所在地及び業務内容等を個別に指定して記載
→在留カード裏面「資格外活動許可欄」には「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と記載

②原則1週に28時間以内(留学生で教育機関の長期休業期間においては1日に8時間以内)であること及び活動場所において風俗営業等が営まれていないことを条件として企業等の名称、所在地及び業務内容等を指定しない場合
→「出入国管理及び難民認定法施行規則第19条第5項第1号に規定する活動」と記載
→在留カード裏面「資格外活動許可欄」には「許可(原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載

③地方公共団体等において雇用されている「教育」「技術・人文知識・国際業務」又は「技能(スポーツインストラクターに限る。)」の在留資格をもって在留する外国人が、1週に28時間以内であること及び地方公共団体等との雇用契約に基づいて、在留資格「教育」「技術・人文知識・国際業務」又は「技能(スポーツインストラクターに限る。)」に該当する活動を行うことを条件として、勤務先の名称、所在地及び業務内容等を指定しない場合があります。
→「出入国管理及び難民認定法施行規則第19条第5項第2号に規定する活動」と記載
→在留カード裏面「資格外活動許可欄」には「許可(教育、技人国、技能に該当する活動・週28時間以内)」と記載

②及び③の場合を「包括的許可」といいます。

②の包括的許可が受けられる場合として、「留学」又は「家族滞在」の在留資格をもって在留する場合のほか、本邦の大学を卒業し、又は専修学校専門課程において専門士の称号を取得して同校を卒業した留学生であって、卒業前から行っている就職活動を継続するための「特定活動」の在留資格をもって在留する者で、同教育機関からの推薦状に資格外活動許可申請に係る記載がある場合等が挙げられます。